明けましておめでとうございます
明けましておめでとうございます。
大晦日にも書きましたが、大晦日の夜から、僕は伊勢神宮(内宮)の初詣の列に並んでいました。
いろいろ不思議なもんです。鳥居の前に並ぶというのは。
鳥居を前に、一年の終わりとはじめの夜に、見ず知らずのみんなに溶け込むわけです。
それは、賑やかな死人の行列のようです。まるで、あの世へ旅立つ列のようです。
鳥居をくぐったところで、僕らはきっと儀式的に死んでいるのでしょう。
そして鳥居から出たとき、また新しい年に、新しく生まれた自分になるのでしょう。
並んでいると「元旦の日は、普段あかない神殿の扉が開くんだよ」という声がどこからか聞こえたので、「もしそうだったら正面から神殿を見たい」と、列の外側のほぼ倍の時間をかけ、列の中央から僕は鳥居をくぐることにしました。
すると扉は・・・・・・御扉というそうですが、門の向こうの神殿の御扉は開き、そこで中を隠そうとする白いヴェールがひらひらと風で揺れていました。
「ヴェールの向こうには何が・・・・・・」
そこには、ただ闇がありました。闇という存在が。
見た人誰もが言葉をなくすような、本物の闇が・・・・・・。
心臓が揺れました。世界が静まりかえりました。
まるで闇が身体の奥まで届いたかのように、僕は闇に照らされました。
・・・・・・もしかしたら、闇は、究極の光なのかもしれません。
ただの光は人の表面を照らしますが、ただの闇じゃなく、存在としての闇は、まるで人の中に一筋の道をつくるように、その人間の存在を照らす。
言葉がなくなりました。
そして次の日、伊勢では見えないと聞いてたので、津の海岸から僕は初日の出を見ました。
それは、いままで見た日の出で、一番優しく、一番美しいものでした。
ありがとうございます。
この一年も、どうかよろしくお願いします。