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出家したかった童貞の物語

10年前。
 
つまり僕が21歳、精神世界にまみれて9年、ベジタリアン歴4年、占い師歴3年、初めての恋から9年、しかし童貞歴21年、しかもオナ禁歴3年、のころ。
 
 
このころ、僕は本気で出家したいと思っていた。
 
 
 
って、最初の自己紹介が絶望臭を醸し出しすぎてて「まあ、そうなる気も分かるよ笑」って読む人に思われてる気がするけど、いやいや、べつにそのせいではありません。たぶん。
 
 
なんだろうか、ひとえに純粋だったのでしょうか。出家して、偉い人の弟子になって、修行して、かめはめ波が打てるようにでもなりたかったのでしょうか。童貞だし。
 
 
 
ともかく、そんなんで僕は偉そうなお坊さんを捜して、日本をぶらぶら旅していた。
  
一時期、縁あった和歌山の寺に身を寄せたが、そこは有名すぎて、観光地過ぎて、理想と現実のギャップに居たたまれなくなってレリゴーしてしまった。
 
馬鹿な童貞にとって、理想が打ち砕かれたのはつらかった。寺に入って、よーし今日から寺で修行をがんば・・・・・・と思った矢先に、その寺のお坊さんたちが朝食のウインナーにケチャップを大量にかけて食べてるのを見て、あれ? と目の前がアメリカンになった。
 
 
こんなはずじゃ・・・・・・と僕は数ヶ月の後にその寺を出て、途方にくれた。
 
寺っていっても、みんな裏でプリプリのウインナー食べてるんじゃないの? と、それまで純粋に輝いてた目が、お坊さんのしてる腕時計や、乗ってる車を、穿った目で見るようになった。
 
 
しかし、そんなあるとき、東京で不思議な人に出会った。
 
その人は、ワークショップも開催するライターさんで、これが希にみる聖人のようなだった。その人は、僕の童貞特有の小さなボソボソ声で言った「修行したい・・・・・・」を見事に聞き取ったかと思うと、それまでの声よりトーンを落とし、こう言った。
 
 
「すごい和尚さん知ってるよ」
 
 
 
え? お坊さんじゃなく、和尚さん・・・・・・??

ウインナー食べない? もう、和尚って、その響きだけでもすごそう・・・・・・。
 
 
僕はどきどき期待を膨らまして、その人の話に聞き入った。
 


 
ーつづくー