神通力を使う和尚さんに弟子にしてと頼みに行った童貞の話4

童貞が行くその4。。。
 
 
ー前回までのあらすじー
 
童貞にも関わらず「もう人生でやることやったし」と嘯く、イッツ・ア・スモールワールドで生まれ育った僕。しかし、そんな僕に、元電通社員という、この世の裏という裏を知り尽くした賢人が「人生は、夢だらけ!」とマトリックスへの扉を開いたのだった!
 
果たして僕は、マトリックスへ参入できるのか? それとも、神通力を持つという和尚の迫力の前に、やはり失禁してしまうのか・・・・・・?
 
ともかく、僕は東京から、和尚の待つ西へと向かうのであった! さあ頑張れ童貞! 負けるな童貞!!
 
 
ーーーーーーーーーー
 
 
とのわけで、その和尚の寺に着いたのは、すでに日の落ちかけた時間帯だった。
 
 
童貞なので、お客さんとして行くならこの時間が適当だろうなんて気遣いはまったく出来ないのである。当然、その日に行くからよろしくねーなんてアポもとるわけがない。もとい、アポなんて童貞には必要がない。
 
 
どういうことかというと、童貞は、己の運命を過信しすぎてしまうのである。
 
 
このときも、頭にあるのは「もし出会って、和尚と目と目が合った瞬間に、『おお、おぬしが来るのを待っていたぞ!』と和尚が僕に運命感じちゃったらどうしよう・・・・・・」という胸きゅんな妄想ばかりだった。
 
 
もし出会って、「いますぐわしの弟子になり、わしの法を継いでくれ! 」っていきなり言われたらどうしよーひゃあー・・・・・・なんて思ってたが、
 
 
 
しかし、いざ和尚に出会って言われたのは、「きみは学校には行かないの?」という、全身に鳥肌が立つほどの現実だった。
 
 
 
そう。当時、僕は21歳である。同級生の友達のほとんどは大学に行って、サークルで飲み会して、河原でBBQしてますという歳である。
 
なのにも関わらず、きみはこんなとこで童貞をこじらせてて大丈夫? と。親御さん心配してない? と、おおお、なんでそんなに正論を言ってくるんだよーーーーー! と、と、と、溶ける!! あああ、生きてて、ご、ご、ご、ごめんなさーーーーーーい!!
 
 
 
と、ゾンビが陽の光に照らされたときのような状態に一瞬なったが、しかし、生まれたときからこれだったのでどうしようもないのですと言ったら和尚も分かってくれた。
 
 
 
というか、なんで和尚がそう言ったのか、すぐ分かったのだが、和尚はどうやら僕を高野山大学に行かせたいらしいのだった。
 
 
「わたしはもう歳で、きみの面倒をみれるほど生きられない。だからここでじゃなく、高野山大学で勉強しておいで」
 
 
とのわけで、なぜか交通費だってことで一万円も貰ってしまった・・・・・・ほほほほ。一万円も貰えるなんて、こりゃ儲けた儲けた、ああ来て良かったー帰ってこのお金でインドカレー食べよーっと!
 
 
じゃなくて、そんなで引き下がれないのが童貞である。その場所に僕が求めるものが存在する気がして、これで帰るわけにはいかないと、童貞の秘技「自発的には帰りません」を発動させ粘り腰の構えである。
 
 
すると、粘る僕に「なぜわたしの所へ来たの? 誰から聞いたの?」と和尚が聞いてきたので、僕は、僕に和尚を紹介してくれた賢人のことを話し始めた。
 
そして話しながら、ふと、思い出した。
 
賢人から聞いた「ミグ」の話である。
 
 
それで、その人から聞いたんですけどと、すこし畏まるようにして和尚に尋ねてみた。
 
 
 
「和尚は本当にあの事件に関わったのか?」と、「もし関わったとして、そのミグのパイロットに一体なにをしたのか?」と、・・・・・・すると、和尚は少し態度を変え、「これから大事なことを言うよ」な雰囲気で僕の目を見て、こう話し出した。
 
 
 
「きみには、きみの両親がいる。そして、その両親にも、それぞれ両親がいる。
 
つまり私たちには誰でも親がいて、その親にも、やはりその親を生んだ親という存在がある。親の親、そのまた親の親、これを遡っていくと・・・・・・延々と、無限に続くそれを、ずっと、ずーっとたどっていくと・・・・・・
 
 
すべては、同じ、ひとつのところに行き着く。
 
 
はじまりのはじまり、宇宙の誕生の瞬間。そこからすべてが生まれた。その、ひとつの元からすべてが全部つながって、途切れることなくつないでこれたから、いまここに、こうして私たちが存在する。
 
 
だから、すべての存在は、知らない存在じゃない。
 
みんな本当はつながっている。
 
 
植物の記憶も、動物や、虫や、石や、砂や、アメーバの記憶も、本当はみんな自分の中にあるんだ。ただ忘れてるだけで、思い出せばいいんだよ。
 
 
みんなひとつだった宇宙の始まりを、ただ思い出せばいいんだよ。もし本当に思い出せたら、誰でも、その話のようなことが出来るようになる」
 

  
そ、そうなんですか・・・・・・なんて有り難い話を・・・・・・
 
 
じゃなくて、僕はその方法を学ぶため、ここ来たのである。
 
 
 
ー次回、衝撃のラストへ・・・・・・! つづくー

 

f:id:nagarau:20160920211627p:image