ストライクゾーン物語

前回のあらすじ。

 

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「よーし、今日もアウトローいっぱいに投げちゃうよー」と、今日も今日とてストライクゾーンぎりぎりにボールを投げてる男がいた。彼は、このきわどいコースにこの変化球を投げれるなんて、こりゃ西田局長もびっくりだなと探偵ナイトスクープに出る心配までしていた。
 
しかし、それはあくまで草野球、あるいはSNS野球盤という夢の世界なのだというのを彼はまだ知る由もない。
 
 
あるとき、調子に乗った彼は俗世間へと飛び出すことを決意。おらのアウトローは社会でも通用するぞと、自分アイランドからペットボトルいかだ(可愛いイルカのペイントが施されている)で出航。さあ、いざ資本主義餓鬼衆道野球の扉を叩かん・・・・・・としたら、あろうことかそこには審判がいたのだった。
 
 
そう、彼は審判相手に一度もボールを投げたことがなかったのだ。投げる相手といえば、いつでも自分誉めてくれるクマや、タヌキや、欲求不満の人妻ばかり。
 
まさかのまさかだった。
 
しかし彼はいつものようにボールを投げた。ストライクぎりぎりいっぱいに決まった!と思った瞬間、彼はいつものように自撮りをした。そして、イイネがどれだけ付くかという心配をし始めたそのとき、審判が叫んだ。
 
「既読スルー」
 
なんとストライクゾーンを外れたどころか、ノーリアクションの既読スルーをされてしまった。
 
そんな、あそこはストライクじゃないのか、アウトローいっぱいじゃないのか。彼は思わず、あの、すいませーん、いまのがストライクじゃないって言われても困りますーと駄々をこねた。散々にゴネた。このままだと泣き出して、最悪の場合デモをしたり、ハンガーストライキをしそうな勢いだったので、もう仕方ないなあと審判が言った。
 
「有名人がシェアしたらストライクにしてもいいよ」
 
 
 
・・・・・・ってのが前回のあらすじでした。
 
いや、それはそうと、世の中にはストライクゾーンが小さい人がいるんです。大きい人はまだいいんだけど、小さい人は、もはや手を伸ばしたら取れるやんってとこでも、ボールを取らない。しかもそれでどこ投げてんだと怒る怒る。
 
ほんと困りますなあ。ど真ん中だけの聖人野球がしたいのかしれませんが、だからといって聖人しか認めないというのはどうなのかなあ。
 
 
なんて話をしたいんじゃなく、そもそもに、みんなルールが違うんです。ストライクゾーンの広さは千差万別にみんな違う。あなたと僕のストライクゾーンは、それぞれの器の大きさなのか、質の違いなのか、こっちがストライクのつもりで投げたボールが、そっちからしたらデッドボールだってことが実によくあるわけです。
 
そんなわけで、僕は散々にデッドボールを投げてきたみたいで、この場を借りて、僕の渾身のデッドボールを受けたすべての人に謝りたい。どうもすみませんでした。
 
けど、僕のなかではそんな珍プレーもそれはそれでスポーツマンシップに乗っ取った絶妙なストライクなので、もちろんこれからも投げますし、なんならどうにかして、飛行機や新幹線のシートを後ろに倒すときのように、これからじわじわストライクゾーンを広げたろうと思いますのでどうかよろしくおねがいします。